この記事では、民泊にも影響がある消防法について、最新情報を民泊初心者にもわかりやすく解説しています。
民泊を始めるときにはたくさんの家具・家電や設備を整える必要がありますよね。
中でも消防設備は、万が一のときにゲストの命を守るため、設置が義務付けられていることも多いです。
ただ、「自分の施設に必要な消防設備は何だろう」と、特に初心者ほど悩むはず。

「消防法」という法律に基づいて、適切な設備を準備しないといけません!
しかも、法律はどんどん改正されるので、「気が付いたらルールが変わっていた!」ということも起きてしまいます。
そこでこの記事では、2024年に改正された消防法について、最新情報を民泊初心者にもわかりやすく解説していきます!



副業で民泊14軒、シェアハウス4軒を運営する鳩子が解説!
民泊を始める際は、消防設備の設置と同時に保健所への提出も必要になってきます。
保健所への届出に必要なもの、手順を知らない!わからない!という人は、こちらの記事で確認しておくことがオススメです◎


民泊初心者にむけて消防法を解説


アパートやマンション、一戸建て住宅で民泊を行うときは消防設備の設置が必須になってきます。
ただ、「消防設備って何が必要なの?」と悩む人もいますよね。
実は、ゲストが就寝するために使用する部屋の床面積や、ホストの居住の有無によって必要な消防設備が異なります!



アパートやマンションの場合、部屋が何階にあるかでも設備に差が!
ここでは、民泊と消防法の関係や、必要な消防設備をわかりやすく解説していきます。
民泊に消防法はどう関係している?


民泊を運営するなら消防法は無視できないもの。
なぜなら、民泊運営では消防法で定められた消防設備を設置することが必要になってくるのです。
また、消防法では民泊を大きく2つに分類し、必要な消防設備の区別もしています。
その2つの分類が、一般住宅と宿泊施設です。
簡単に表にしたものがこちらです!
床面積50㎡以下 | 床面積50㎡超 | |
家主居住型 | 一般住宅 | 宿泊施設 |
家主不在型 | 宿泊施設 | 宿泊施設 |
※宿泊施設をさらに「複合施設」「共同住宅」へ分類することもできますが、ここでは分かりやすく宿泊施設に統一しています。
一般住宅に分類される場合、消防設備は普通の居宅と同じものになります。
ただ、宿泊施設になると、旅館やホテルと同等の消防設備が必要に!
一般住宅とは異なる消防設備の設置が求められるので、初期費用もそれなりにかかってきます。



ここでの床面積は「宿泊室」!
50㎡超となると、日本ではかなり広い部屋になるはずです。
家主居住型(床面積50㎡以下)で必要な消防設備
家主居住型で、床面積50㎡以下の施設の場合、一般住宅とみなされます。
そのため、消防設備は各居室、キッチン、階段などに住宅用火災警報器を設置すればOK!
電池式の住宅用火災警報器なら、電気工事も不要なので、自分で取り付けることもできちゃいます!



安いものなら2,000円程度で購入できますよ!
ただし、納戸やウォークインクローゼットのような広めの空間が1部屋とみなされることも。
一般住宅の条件を満たす場合でも、消防署への確認は行いましょう!
家主居住型(床面積50㎡超)、家主不在型で必要な消防設備
家主居住型で床面積50㎡超の場合や、家主不在型の場合、宿泊施設(複合施設、共同住宅)とみなされます。
一般住宅とは異なり、消防設備もホテルや旅館のようなものが必要になってきます。
実際に必要な消防設備が分かりやすく分類された、消防庁の公式サイトの一覧表がこちら。


この中でも、最低限必要なものをまとめると次のようになります。
- 消火器
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- 非常用照明
消火器は床面積が150㎡未満(地階・無窓階・3階以上の部屋なら50㎡未満)の場合は、設置は義務ではありません。
ただ、安いものなら3,000円ほどで購入できるので、安全のために設置しておきましょう!
また、11階以上のフロアにあるor延べ床面積600㎡以上の物件では、スプリンクラーの設置も義務!
かなり大きな設置工事が必要になるので、民泊運営を始めるにあたっては10階以下の物件を選ぶ方が無難です。



必要な消防設備や詳しい条件は、消防庁の公式サイトも参考にしてください!
総務省消防庁 「民泊における消防法令上の取扱い等について」
2024年最新情報


ここまで、基本的な消防法と民泊の関係を解説してきました。
ただ、法律は随時改正されるもの。
実は消防法も2024年7月に改正されています!
この改正で、民泊に必須の消防設備の設置基準にも影響がありました。
ここからは、基準緩和の内容をより詳しく見ていきましょう。



字面が難しそうに見えますが、わかりやすく解説していきます!
2024年7月に消防法が改正


まずは改正内容の原文を見ていきます。
2024年7月の消防法改正の内容は次の通りです。
以下の事項等について措置を行うため、火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)等を改正するものです。概要については、別紙2をご覧ください。
総務省 報道資料より(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shoubo01_02000904.html)
(1)特小自火報を用いることができる防火対象物の拡大に伴う規定の整備
(2)特小自火報の設置及び維持の基準の見直しに伴う規定の整備
(3)火災の発生した警戒区域を特定することができる連動型警報機能付感知器の要件等の整備
(4)その他所要の規定の整備
(1)、(2)で特小自火報の設置範囲の拡大が言及されていますね!
「特定小規模施設用自動火災報知設備」のこと。
1個15,000円前後で購入でき、配線工事も不要なので、資格がなくても設置作業を行えます。



設置に15万~40万円ほどかかる通常の自動火災報知設備と比べると、特小自火報はとてもリーズナブル!
今回の消防法の改正では、初期費用を抑えて設置できる特小自火報が認められる範囲が拡大した、ということになります!
消防法の改正で民泊はどうなる?


では、特小自火報の設置が拡大したことで、具体的に民泊にどれくら影響があるのか気になりますよね。
結論から言うと、通常の自動火災報知設備が求められた小規模アパート・マンションの民泊施設でも、特小自火報の設置が認められるようになります!
そもそも、自動火災報知設備は、消防設備士の資格を持つ人に、配管工事・設置を依頼するしかありません。



それなのに民泊施設は自動火災報知設備の設置が求められていました。
そのため、自動火災報知設備の設置には15万~40万円ほどかかり、初期費用として大きな負担に。
ただ、次の条件を満たす物件の場合は、特小自火報の設置でもOK!と、条件が緩和されていたのです。
- 建物の延べ床面積が300㎡未満
- 2階建て以下の戸建て住宅
※2つとも満たす物件
2024年の消防法改正ではここが改正され、「特定一階段防火対象物」と言われる物件にも特小自火報の設置が認められました!
- 避難階(1階および2階)以外の階に、民泊や飲食店がある
- 避難階以外の階(地下、3階以上の部屋)から、避難階(1階および2階)や地上へつながる階段が2つ以上設けられてない
2つを満たす物件を「特定一階段防火対象物」と言います!
とってもわかりにくいので、ざっくり言うと、「階段が1つしかないアパートやマンションで、1階、2階以外の階の部屋」のこと!
この特定一階段防火対象物のうち、300㎡未満の建物では、自動火災報知機ではなく特小自火報の設置でOK!と変更されたのです。



小規模なマンションの民泊施設なら、初期費用が安くて自分で設置できる特小自火報が主流になっていくはずです!
まとめ


この記事では、2024年に改正された消防法の最新情報を、民泊初心者にもわかりやすく解説してきました。
最後にもう一度、おさらいしておきましょう。
- 民泊運営では、消防法で定められた消防設備を準備しないといけない
- 家主の住み方や、施設の広さで必要な消防設備が変わる
- 2024年7月の消防法改正で、低コストで設置が簡単な特小自火報の対象基準が緩和された
2024年7月の改正で、高コストの有線式自動火災報知設備ではなく、低コストの特小自火報(特定小規模施設用自動火災報知設備)の対象範囲が拡大!
対象の物件で民泊を行う人は、消防設備の設置費用が大幅にカット可能に!
消防設備の設置は、ゲストの安全を確保するためには必要不可欠になるものです。
法律の最新情報を確認したり、定期的に設備不良がないかを確認するようにしましょう!



わからないことがあれば消防署に問い合わせるのもオススメですよ◎